今回ご登場いただくのは、久々の女性酪農家、JA幕別町青年部の妹尾(せのお)優希さんです。就農して3年目で、青年部には昨年入ったばかりという妹尾さんに、女性ならではの牧場経営に対する意気込みなどについてお話を聞きました。
酪農の手伝いで学費を
妹尾さんは、高校時代はは家を離れて下宿生活を送り、帯広畜産大学に入学後は、実家の牧場で早朝に搾乳してから登校していたそうです。
酪農の道を選んだ動機は、「動物が好きだったから」と、実にシンプル。将来は牛関係の仕事に就ければ、別によその牧場で働いてもいいとさえ思っていたそうです。
「小さいころから普通に牧場の仕事を手伝っていました。たとえば牛舎をひと回りして、フンを一つ片付けたらいくらお小遣いがもらえるとか、働いているというより遊び感覚に近かったように記憶していますね。大学に行ってからは、家で働いて手当てをもらい、学費を引いた残りをお小遣いに充てていました」
3年前に就農した妹尾さんを、父親は跡取りと考えているようで、まだ具体的に経営のことまでは話し合っていないものの、いずれ結婚したらお婿さんを取る方向になるのでは、とのことです。
まるで母親のように仔牛になつかれる妹尾さん
決まった休みを獲得して
乳牛はつなぎ飼いで、家族に従業員2人を合わせて6人で作業しています。頭数はここ数年で増え、少しずつ規模が大きくなってきています。すでに牛舎はいっぱいの状態で、乳質の低い牛から売ってスペースを確保しているそうです。
妹尾さんが酪農で心がけていることは、「牛も人も健康で快適に暮らせるように」ということ。そのためにも、牛を飼う環境を清潔・快適に整えることだけでなく、働く人間にもゆとりが必要だと話しています。「時間に余裕が持てずに切羽詰って搾乳するのは、いい結果を生みません。そのためにはまずきちんとした休みが必要で、父親と交渉して、週1回の決まった休みを獲得しました」
主張すべきことはきちんと主張し、牛にも人にも優しい妹尾さんが、今後どんな酪農家に成長していくのか楽しみです。
つやつやの毛並みが健康そうな妹尾牧場の牛たち
プロフィール
25歳。飼養頭数240頭。経産牛120頭。年間出荷乳量約1200t。
耕地面積60ha。