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特集記事

2020_05_04 | 2020年 5・6月号 巻頭記事 | | 編集部イーハトーブ

新型コロナで食料輸出規制の動き日本の食料安保の脆弱性露わに

新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大しています。一部の国では小麦や米などの輸出制限措置を導入。穀物の国際相場が上昇しています。一方、国内、道内では、外国人技能実習生が入国制限により来日できず、労働力確保に支障を来す農場も。食料生産体制の脆弱性が露わになったと言えそうです。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界最大の小麦輸出国ロシア、世界最大の米輸出国インドが国内向けの供給を優先するため穀物の輸出を制限。セルビア、ベトナム、カザフスタン、カンボジアが続き、ウクライナも小麦の輸出制限を検討しています。

FAO(国連食糧農業機関)などの国際機関は3月31日、過度な輸出制限をしないよう共同声明を発表しました。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパ各国、中国など日本が多くを依存している国々は輸出規制に否定的です。農水省も「影響は限定的」と見ています。
しかし、どの国でも、自国の食料生産が減少すれば、国内供給を優先します。気候変動や国境を超えた疫病の流行は、そのような事態が起こり得ることを示唆しています。
折しも、新型コロナウイルスの感染拡大により、中国やベトナムなどからの外国人技能実習生の来日がストップしています。道内でも数百人規模で影響が出ています。受け入れる予定だった農場では、人手不足に頭を抱えていると言います。
新型コロナウイルスは、図らずも日本の食料安全保障体制の脆弱性を露わにしました。政府・農業界は今すぐにでも食料増産に向けた手を打つ必要があります。食料自給率37%のままでは“食料安全保障”は砂上の楼閣にすぎません。
(堀)

2020_05_04 | 2020年 5・6月号 巻頭記事 |