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特集記事

2022_07_01 | 2022年 7・8月号 巻頭記事 | , , | 編集部イーハトーブ

【日高町 】地域おこし協力隊員がただ今農業に全力投球中です!

コロナ禍で全国的に在宅の勤務形態が多くなり、若者たちは「生涯の仕事」を見つめ直す機会ともなった。また過密な大都会生活を捨て、自然豊かな地方に移住を決断したり、また〝転職〟を決断する若者まで出現する。今回は日高町に移住し、農業と向き合う本州出身の青年二人を紹介する。

若者たちの移住には全町民がウェルカム

人口減少に突き進む日本社会にあって、日高町も例外ではなく人口減少は年々進んでいる。その中で、農業の生産現場では高齢化が進み、また後継者もいない農家世帯もあり、農業の継続性が危ぶまれている。
離農を放置するわけにはいかない。地域社会で最善を尽くす。その地域に意気盛んな新規就農者が出現し、耕作地を引き継ぐ形で農業を継続出来たら地域社会にとってこんないいことはない。

日高町では農業の担い手を育てる事業を進めている。決して派手さはないが、全国から有為な考えを持った若者たちが日高町に移住を決断し、農業技術を学びながら日々農業に勤しんでいる。
今回は農業を目指して日高町の「地域おこし協力隊」に応募してきた大橋正規さん(32・大阪府出身)の新規就農に至った経緯と、スタート台に立ったばかりだが宮本章弘さん(25・和歌山県出身)の農業へ寄せる思いをクローズアップしたい。

 

[写真左]日高町の地域おこし協力隊員(農業支援員)として3年間活動後の今年4月、新規就農した大橋正規さん。
[写真右]今年2月から農業支援員として活動中の宮本章弘さん。新旧の「地域おこし協力隊員」の揃い踏みだ。
JA門別の研修農場(アスパラガス畑)にてー5月19日撮影ー

 

日高町への移住と独立営農を決意

大橋正規さんはシステムエンジニアとして名古屋市で仕事をしていたが「パソコンに向かう仕事を生涯に渉る仕事とも思えず、緑広がる環境で農業がしたい」と思い立ち、日高町の協力隊員募集に目が留まった。実際に現地を訪れて、生活環境の良さ、受け入れ態勢の万
全さを感じ、移住と将来の独立営農を決意、協力隊に応募した。
令和元年6月、地域おこし協力隊に採用が決定し、農業支援員として活動を開始した。

JA門別町の営農指導の下で研鑽を積み、北海道立農業大学校で農業機械の研修や新規参入者研修を受け、一歩一歩農家になる夢の実現に近づけていった。今年3月で農業支援員としての活動を終え、4月自営農家としてスタートを切った。

平成31年1月の東京で開催された新・農業人フェアで就農相談をしたのが第一ステップなら、当年4月には日高町入りして地域おこし協力隊の面接を受けたのが第二ステップ。年号が令和にかわったが同年6月には協力隊員の採用が決定。それから丸3年経ち、念願が叶い、独立営農だ。「アスパラガスを中心に、将来的にはミニトマトを作りたい」と語る。

 

午前中の収穫でアスパラガスは疎らだったのが残念。左手に今年協力隊として採用になった宮本章弘さん、右手に協力隊の任を終えて新規就農した大橋正規さん、
指をさしているのは取材中の筆者です!

 

新旧の協力隊員の呼吸も合った揃い踏み

大橋さんの後を追うように入ってきたのが、和歌山県出身の宮本章弘さんだ。仕事は運送会社だったが、前出の大橋さん同様パソコンと向き合う日々の連続だった。

実家は兼業農家、子どものころからいつも農業を身近に感じていた。パソコンと睨めっこの仕事をしている中でも、「やっぱり農業をやりたい」と思う気持ちが段々強くなりそこに日高町の「地域おこし協力隊募集」が目に飛び込んできた。「どうせやるのなら広大な所で独立した農業経営をやりたい」。

今年2月、協力隊員として採用決定、現在農業支援員として活動を開始している。新規就農を目指して貪欲に農業技術を習得中だ。
日高町内の農家も、他地域と同様に離農が進んでいる。空いたビニールハウスを見て、「使えず放置するのはもったいない」と、意欲を見せる。彼らに続く若者たちの出現が待たれる。
因みに日高町の主な農業は稲作、施設野菜(ハウス野菜)として軟白ネギ・アスパラガス・ミニトマト・トマト・イチゴ・ピーマンなど、酪農と肉用牛生産。また、日高管内全体で軽種馬生産が盛んだが日高町においても盛んだ。

 

大橋 正規さん

 

宮本 章弘さん

 

取材を終えて

若者ゆえの特権といえば〝失敗を恐れぬ挑戦”だ。年齢が進むとそうはいかないものだ。

今回日高町の新旧ふたりの地域おこし協力隊員を取材して可能性を強く感じた。大橋さんは年齢的にも兄貴分だし一足早く協力隊を卒業し、独立就農の一年生。弟分の宮本さんは一年目の協力隊員だが、実家が農家であるせいか、風情がすでに備わっていた。若者が二人同じ地域に頑張るというのも心強い。将来にわたり彼らを追って、ドキュメンタリーを綴ってみたい。それも成功物語がいい。

文 山田勝芳

 

 

 

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