今、中標津町がじわじわと熱気を帯びてきているのを皆さんはご存知だろうか? 中標津町で「牛」を軸としながら、未来を見据えた町づくりに取り組むのが㈲竹下牧場の竹下耕介氏だ。「オモシロイが未来をつくる」をモットーに、今中標津町を盛り上げている。
「開拓の地」中標津
竹下氏はこの町を「開拓の地」と呼ぶ。この言葉には、九州から移住した創業者で父の日吉氏をはじめとする先人達が0から1を生み出してきたように、これから新しい何かを生み出しながら、牛と共に豊かに生きていきたいという思いが含まれている。
さて、酪農家でありながら、町づくりに携わる竹下耕介氏とはどんな人物なのか。
「余白ニスト」竹下耕介さん
竹下耕介という人
㈲竹下牧場二代目。妻と5人の子供達と中標津に暮らす。
空への憧れが強く、千葉の航空専門学校へ入学したが、結局勉強はせず遊び呆け、家に戻ることとなる。小四から牛舎を手伝う中で、いつか家を出て外の世界で色々経験したいと思っていた。が、家に戻り気がついたのは、「遊びには飽きたが、農業は一生飽きることがない挑戦しがいのある仕事だ」ということ。二十二歳。ここから酪農家としての人生がスタートする。
今は町づくりに携わる竹下氏だが、人が喜ぶ仕掛け(きっかけ)を作ることが昔から好きだった。「舞台で言うなら主役ではなく裏方タイプ。誰かがほんの少し幸せになるような事がしたい」と言う。若かりし頃はそんなイベントを企画したが、それが今町づくりへと発展している。
余白ニストとして
彼を語るのに忘れてはならないワード「余白」。竹下氏は自らを「余白ニスト」と呼ぶ。人生を豊かにするためには、そこに「余白時間」が必要だと言う。予定を詰め込まず「余白時間」をつくることで、思いもよらない素敵な偶然に出会うことがないだろうか。中標津で人々にそんな偶然が起こるようなきっかけを作る。その偶然が織りなす、誰も予測できない未来に彼は期待を寄せる。
オモシロイが未来をつくる
そんな竹下氏が、町づくりに繋がる多角経営を始めたのが2018年。
「牛と新しい関係が生まれる宿」として、町の中心部に地域と人を繋げるためのゲストハウス「ushiyado」をオープン。牛の魅力を随所に取り入れ、町全体を宿に見立てた「まち宿」である。旅人・地元民が交じわりながら、新しい関係が生まれる場。ここを皮切りにオモシロイ仕掛けづくりは続く。
「みんなの夢を地域に残す事で、共感者が互いの強みを活かして実現するプラットフォーム作り」を目指し始まったプロジェクト。「ushiyado」支配人として活躍した久保竜太郎氏がこれを実現すべく東京から帰還。彼もまた無類のオモシロイ事好き。両氏は、「同じような周波数を持った人を町に増やしたい」と語る。
プロジェクトは進み、六月一日にはコワーキングスペース「MILK」が誕生。今度は仕事をテーマに地域と人を繋げていく。更にはカーボンニュートラル型のヴィラを建設予定。また、プロダクトとして、現在販売中の名刺代わりのチーズ「はじめましてモッツァレラ」「おはよーマリボー」(竹下氏と妻の邦枝さんで製造、中標津町で購入可能。「ushiyado」では嬉しい食べ放題)に続きポタージュも開発中。酪農家である竹下氏が考える牛と人が幸せに暮らす町づくり。今後の展開から目が離せない。
(舩島)