減肥・減農薬は必須条件農業は有機化に向かう
環境保全型農業を目指すとなれば、有機農業へ向かうことになる。昨今の化学肥料の価格高騰や地球温暖化対策を図るためには「減・化学肥料」、「減・農薬」は農業者共通の必須となる。有機化はいわば時代の必然、世界は今、有機農業に向かって歩み始めているといってもいい。
ひとくくりで有機といっても「完全な有機農業」を目指すのか、従前の「慣行農業」から一段一段と階段を登っていくように徐々に「完全な有機農業」に近づけていく農業かに分けられる。
このように、有機化はケースによって分類されているが道農政部資料より抜粋した図解が非常に分かりやすい。
日本は116位群を抜く欧州の取り組み
総農地に占める有機農地の占有率は、世界全体で1・6%となっている。これではとても「世界は有機化に向かっている」とは言い難い。日本ではこの数値がさらに低い有様で0.3%だ。なんと世界順位で[116位]となっているではないか。決して世界に向かって胸を張れる水準には至っていない。
対して、環境問題に真摯に向き合う欧州諸国は有機農地の占有率は高い。一方、アメリカや中国はその数値が低く、1%にも満たない。先進国といわれる国々の間でも、数値がこんなに違う。
耕作面積に対する有機農業取り組み面積の割合が上位の国は、①イタリア16・0%、②ドイツ10・2%、③スペイン10・0%、④フランス8・8%、⑤イギリス2・7%・・・日本は116位で0・3%となっている。ただし、日本は有機JASを取得している面積のみ計上となっている。
日本における有機化は断然北海道が有利だが
日本は過去10年で有機農業取組面積は37%増加している。地目別で「有機JAS」面積の伸びの大きい都道府県は、田は①福井県34 ha②宮城県31 ha、普通畑は①北海道155ha②群馬県35 ha 、牧草地は①北海道638 ha②千葉県21 ha、茶畑は①鹿児島県20 ha①京都府20 haとなっている。(R2→R3年)
ここで注目したいのは「田」、もう少しいい数字が出てしかるべき。特に稲作の双璧、新潟県と北海道は目立って欲しいところだ。普通畑と牧草地のダントツは当然なこと。
北海道農業が今後とも持続的に発展していくためにも自然環境への負荷を可能な限り低減していくことが課題になる。そうした意味でも有機農業を積極的に推進することは時代の要請に合致する生産方式となる。
間違いなく、地球温暖化防止、SDGs、カーボンニュートラルの達成に有機農業は大きく貢献する。今後も注目したい。