東川町長 松岡市郎氏
東川町が移住促進の取り組みを本格的に始めたのは、10年前とのこと。
町長はとてもシンプルに「YES、YESと言っていたら増えていきました」と話し始めました。
シンプルな中に、人口を減らしたくない。その思いがとても一途に伝わってきました。
実際、1995年の国勢調査から一度も減らず、増加し続けています。
勿論、空港や駅が非常に近いといった恵まれた交通インフラに加え、公共施設の新設や暮らしにおける助成が揃っていることも、移住促進において欠かせない要素で、その充実は都会に住む私たちから見ても羨ましいと思うほどです。
ただ、ここまででは「移住する」迄には至りません。
そこから先の理由とは。
「ここに住もうと思った時、一番最初に合うのは役場の職員。先ずその職員が心から「どうぞ」という気持ちが無かったらいけない。町長の私も含め、常にウェルカムの気持ちを持つのが当然だと思っています。
小学校を移転し、若い世帯が住み始め、子供会が出来ました。町の中では、外国語を教える外国人と接する機会が自然にあります。子どもも大人も日本人も外国人も皆、挨拶を交わしています。国際教育に力を入れている結果、地域は差別や区別をしない風土になっています」町長は一呼吸おいて、静かに「職員は皆、よく頑張ってきています」と小さくつぶやきました。
東川町は、全国でも地域おこし協力隊員が多いことで有名です。その数累計45人。隊員のミッションは様々で、役場職員や、新しく仕事を生み出す人も。「その人がしたい仕事が出来る」よう、公設民営でチャレンジする土壌を整えています。
なので子育て世代もシニアでもウェルカム。
そうしているうちに、一度都会に出てしまった農家の後継者までもが町に戻ってくるようになり東川町には現在、耕作放棄地はありません。基幹産業の畑作で冬も収入を得られるようにと夏の間のお米づくりは、冬にはお酒づくりに。麦の農家さんは、冬にはビール。葡萄の農家さんはワインづくりへと。そこで生み出された魅力のある商品が、執務室に並んでいます。町も人も一緒に未来へと進んでいる様子が手に取るようにわかりました。
「出稼ぎをさせない」
若者だけでなく、町中の色々な意味での子ども達皆を応援してくれる。町長の力強い一言が印象的でした。
松岡市郎
1951年生まれ。1972年 東川町奉職。
農林課長補佐、社会教育課長、税務課長を経て、2003年に退職。
同年、東川町長に就任。現在5期目
2021_09_05 | 市区町村特集インタビュー | 東川町