パンとコメの食料自給率の相関関係には法則がある。パンがコメより優勢になれば、日本の食料自給率は下がるという図式。国産小麦の自給率は12%だからパンがコメより上回れば、外国産小麦が日本の食卓を跋扈する理屈だ。家計に占めるパンの支出が逆転してから米離れは止まらないが打開策はあるのか。
因みにコメの自給率は約97%、小麦の自給率12%だから、パン食が米飯を上回れば食料自給率は当然低くなる。
逆転したのは2011年からパン食が優勢になったままで推移している(総務省の家計調査から)。皮肉にも2013年には日本の「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録された。そう、世界が和食文化を栄養バランスに優れた伝統食として認めた証だ。日本食ブームといわれて久しいが、世界の主要都市には日本食レストランが必ずある。それに伴い日本の調味料や酒、鰹節などは輸出を伸ばす嬉しい現実もある。
一方で、国もコメの減反政策を止めて生産者サイドの自主判断に委ねた。それでも消費量は下げ続けているが一体、どこまで行けば下げ止まりになるのか。人口減少も追い打ちをかけ、当面コメの減産体制が続く。
北海道の米づくりはまだ150年、本州の千年以上の歴史と比して足元にも及ばない。歴然とあるのはコメ文化の伝承力の差。コメの生産量は新潟64万t、北海道60万t、秋田52万t、山形40万tがコメの上位県だが、日本酒の蔵元数を比較すれば一目瞭然。
新潟89蔵、長野74蔵、兵庫69蔵、福島63蔵、福岡58蔵、山形51蔵で北海道は13蔵の圧倒的大差だ。米菓子も亀田製菓など日本の上位3社は新潟県だ。生産量では誇れても、コメ文化の定着度に大差あり。先進地から謙虚に学ぶべき。
(山田)