北海道では最近10年余で50以上のチーズ工房が生まれ、今では150社を超えました。さらに技術の向上も著しく、世界的に高い評価を受けているブランドも増えています。とはいえ、自分に合う最適なチーズを選び出すのは至難の業。そこで、北海道内有数の専門店「チーズの店コンテ」を取材しました。
チーズの歴史は4千年にも及ぶそうですが、日本における本格的なチーズ製造は、1876年にエドウィン・ダンが開設した札幌真駒内牧牛場が始まりでした。それから140余年、世界が認める道産チーズ工房が増えてきました。
チーズの店コンテは、チーズ専門店フェルミエ(東京)が2007年に開設した札幌店が原点。同店は10年で撤退することになりましたが、酪農の本場・北海道で国内外のチーズを楽しめる貴重な存在を失ってはいけない!と、当時スタッフとして勤めていた工藤典子代表が事業を引き継ぎ、チーズの店コンテとして現在に至ります。
工藤代表は、札幌市内のホテルや飲食店勤務の傍らワイン・ソムリエとして研鑽を積み、そのプロセスでチーズの魅力を知りました。以来10数年に亘ってチーズの豊かさ奥深さを探求し、ひとりでも多くの人に世界の、そして北海道のチーズを知ってもらうため取り組んできました。そんな工藤代表に、「今北海道で食べるべき上位3ブランド」を教えて頂きました。
工藤 典子代表 道産・世界のチーズが並ぶ店内にてホームページは左のQRコードから
喜茂別町チーズ工房タカラ
特にハード系の「タカラのタカラ」が素晴らしく、入荷即完売になるようです。原料生乳は1999年から放牧酪農に転換した牧場タカラ(斉藤信一代表)の生乳を使っています。ここでは、牧草地の土づくりからはじまり、牛の生産から日々の生活に至るまでストレスなく過ごせるかを追求しています。その結果生み出される最高水準の生乳を原料として、代表の弟・斉藤愛三さんが2007年に立ち上げたチーズ工房で技を磨き現在の境地に達しました。2018年にはジャパンチーズアワードでグランプリに輝いています。
足寄町しあわせチーズ工房
チーズ職人として研鑽を積みながら、理想とするチーズに到達しない悩みを抱えていた本間幸雄さんが原因は生乳にあることに気付き、道内の放牧農場を訪問して歩きました。現地に寸胴鍋とカセットコンロを持ち込んでチーズを作り「最高の生乳」に出会えたのが足寄町ありがとう牧場。こうして牧場内にしあわせチーズ工房を開設し、理想とするチーズ作りに磨きをかけています。こちらもジャパンチーズアワード2020でグランプリに輝きました。
ニセコ町ニセコチーズ工房
こちらは羊蹄山麓の複数酪農家が生産する生乳を使用しています。この地域は経営規模が小さい分、乳牛1頭1頭に目が届く運営をしているそうです。
この地で、親子2代に亘ってチーズ作りの技を磨き続けてきたのがニセコチーズ工房。フランスやイタリアで修行してきた経験もさることながら、日本人の口に合うチーズ作りにも長けており、その結果、国内外のチーズコンテストで何度も受賞してきました。遂に昨年、世界で最も高い知名度を誇るワールドチーズアワードで最高金賞を受賞するという快挙を成し遂げました。
(境)
チーズ選びの極意とは
世界中のチーズを知り抜くプロに相談するのが一番の近道。チーズの店コンテでは、顧客の食体験を丁寧に聞き取りながら、一緒に楽しく最適なチーズを選ぶことができます。お店に行くことが難しい方には、通信販売でお試しセットを購入する方法もあります。
また、今年7月には北広島市に新設されるエーデルワイスファームの新店舗に当店のコーナーが設けられる予定です。こちらも是非お楽しみください。
●チーズの店コンテ
札幌市中央区大通西24丁目2番3号プレミエール円山1F
TEL: 011・624・7084
2022_07_25 | 2022年 7・8月号 ゆめさぽ 特集 連載 食の専門家リレー | ゆめさぽ, チーズ, 乳製品, 酪農