わがマチの1次産業の魅力をお伝えします。今回は市民の94%が「住みやすい」と評価する恵庭市です。(8平成30年市民意識調査結果より)。原田裕恵庭市長にお聞きしました。
DATA
【人口】69,850人(H30年12月末現在)
【世帯】33,850世帯(同上)
恵庭市役所
〒061-1498 北海道恵庭市京町1番地
TEL: (0123)33-3131
原田裕 市長
恵庭市の農業の特徴を教えてください。
わがマチは昔から農業が基幹産業です。明治の開拓以来、農業を中心に発展してきました。初めの頃は稲作が中心でしたが、農政改革などによって畑作や野菜に転換していきました。水田の75%が、すでに転作田に転換されています。また、酪農も盛んです。20戸の酪農家が2500頭ほどの乳牛を扱っています。また、優秀な酪農家も多くいて、福屋牧場は全国の乳牛コンテストで数多くの受賞歴を誇っています。わがマチの農業の大きな特徴は、大消費地である札幌市に近いということで、都市近郊型農業です。中でも、花卉栽培が盛んで、花苗と切花を扱っています。花苗生産は30年の歴史があり、大規模な農家が多く、札幌市の大通公園の花壇の80%ほどは恵庭市内で生産された花々で占めています。
花苗栽培のようす
一方、農家戸数は15年前に比べると半減しましたが、1戸あたりの耕作面積は2倍以上になり、農家の所得も大幅に増加しました。そのような現状ですから一度農業から離れた農家の子息たちも後継者として戻って来ています。そのため35歳未満の農業従事者がたくさんいます。彼らはグループを作り、子どもたちに農業や食育の大切さを教える活動をしており、頼もしくありがたいことだと思っています。
また、恵庭と言えばやはりカボチャですね。特に、えびすカボチャは名古屋の種苗会社から栽培してくれないかという依頼から始まったものでした。それ以来、ずっと大事にこのカボチャを作っています。今では10種類ほどのカボチャを生産しています。
このような活気ある農業がわがマチの大きな魅力を作り出していると思っています。
えびすカボチャ
花のまちづくりを推進しています。具体的にどのような事を行っていますか。
わがマチでは、先述したように花卉栽培が盛んであることもきっかけに一つとして、花を核としたまちづくりを官民あげて行っています。市内には、公園や街路、また各個人宅においても花や緑で多く彩られていて、それがマチの景観を形成しています。「恵庭市花いっぱい文化協会」という市民と花苗の生産組合からなる団体が、良質な花苗を安価で提供していて、毎年10万株ほど出荷するなど市内で生産した花を市民が購入するシステムが確立しています。
大きなきっかけとなったのは、平成2年から開催している「花とくらし展」です。花のある暮らしの素晴らしさを実感してもらうべく開催しました。その後、平成3年に市民有志で視察に訪れたニュージーランドのクライストチャーチにおいて、個人で手入れされた庭がそのまま美しい景観になることを知り、市民自らガーデニングコンテストなどを実施するなど、市民主導の花のまちづくりが広がり、「花のまち」と呼ばれるまでになりました。平成22年度には「花の観光地づくり大賞」をはじめとし、数々の賞もいただいています。
花とくらし展のようす
道と川の駅「花ロードえにわ」の魅力がさらにアップします!
わがマチの農産物は、道と川の駅「花ロードえにわ」に隣接する直売所「かのな(花野菜)」で販売しています。4月上旬から11月下旬までの営業で30万人ほどの来場者があり、昨年は4億9千万円ほどの売上がありました。50戸ほどの農家さんに出荷していただいています。
「花のまちづくり」の拠点としてこの「花ロードえにわ」の施設などの拡充を行います。今年から着工します。道の駅の裏側に花の拠点施設となる公園を造成し、ホテルも建築します。また、「かのな」の店舗も大きくします。ホテルは公園の中に、使用料を払って、土地を借り、民間自らホテルを建て管理運営するPark‐PFI(パークピーエフアイ)方式が採られています。
「花ロードえにわ」には年間100万人の人が来ます。花の拠点として一体整備することにより、更なる来場者を呼び込もうと思っています。公園は来年度オープンの予定です。
花ロードえにわ
観光客や移住者など人を呼び込むための施策を教えてください。
大きな問題は、市内には観光資源がたくさんあるのに素通りされていることです。これはホテルの少なさによるところが大きいと思っているので、今回、道の駅にホテルが整備されることには大きな期待を持っています。これまでは市内を周遊してもらうための拠点がなかった。この公園が完成すれば、ここを拠点として札幌などを観光したあとで、また恵庭に戻ってくることができます。
一方、定住者の人口は増えています。昨年12月末現在で人口は6万9千850人で、昨年は1年間で329人増えたので、今年で7万人を超えるものと予想しています。道内で人口増加の自治体はあまりありません。今後、近隣の北広島市には北海道日本ハムファイターズのボールパークができ、千歳市も更なる国際線の充実を目指しています。両市に負けないように、わがマチもその魅力を外に打ち出していかなければなりません。昨年、「シティーセールス検討委員会」を立ち上げ、そこからの提言を予算化して、わがマチの魅力を外に発信していくつもりです。