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特集記事

2019_09_21 | 2019年 9・10月号 特集 | | 編集部イーハトーブ

あれから1年
厚真町、復興へ逞しく

胆振東部地震から間もなく1年、復興の進捗を取材しようと、7月1日現地に向かった。厚真町に近づくほど、波打つ道路がまだ残る。遠目には所々崩れ落ち剥き出しの山肌も飛び込んでくる。道路沿いの田畑も手を入れたところ、未着手の箇所が混在する。厚真町の農業はどうなっているのだろうか?

 

暮らしの中で防災・減災を心がけよう

『9月6日午前3時7分』、胆振東部地震が発生し、震源地の厚真町・安平町・むかわ町をはじめ各地で被害が出た。また、道内全域でのブラックアウトも私たちは初めて経験した。
7月1日、取材で現地に向かう。厚真町内の国道から見える山腹の土砂崩れ(写真)は復旧に向け工事は続けられていたものの外観からはそれほど大きく復旧しているようには見えない。それもそのはず、その後の余震や大雨で二次災害の危険性もあり、そう簡単には工事に入れない事情もある。
吉野地区の山裾に広がる水田農家は1軒だけ残して一瞬のうちに土砂に飲み込まれた。唯一被災しなかったこの1軒の農家は、住居がたまたま苫小牧に所在し難を逃れた。稲作農家の集落はなくなったのだが、最良の判断というべきか、唯一生き残った生産者がすべての耕作地を継承していくと聞いた。吉野地区の稲作農家としての連帯感を感じさせる決断だった。

 

厚真町の崩落現場(7月1日撮影)

 

厚真町全体の営農はどうなのか、「JAとまこまい広域」営農部長の松久弘志さん、課長の葉内章さんに話を聞いたところ「町全体で約1500町歩の作付面積のうち、約1割は作付け出来なかった。用水路は寸断されたが復旧が早く進められて作付けが可能になった」と、生産者サイドも一安心といったところか。
ハスカップといえば厚真町の特産品だ。主要作物ではないが栽培農家は約百軒で、栽培面積は30数町歩ほど。被害を受けた生産者もいるが、「収穫は木を植えてから3、4年かかる」とのことだ。
農業には地域のコミュニティとか共同活動が重要な要素だ。「春先、人がいなくなった地域の水路の清掃や畔の草刈りをどうするか」、課題も多々ある。また、鹿よけの防護柵も総延長100㎞のうち40㎞が崩壊。「国は資材費を100%出すけれど設置費は地元だ。ボランティアの皆さんに設置作業を手伝ってもらった」と応援に感謝する。支援の輪を広げたい。

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