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特集記事

2022_10_27 | 11・12月号 2022年 特集 | , | 編集部イーハトーブ

越浦パイプ㈱越浦政俊社長に聞きました
北の大地でより良い農業の環境づくりを

寒冷地である北海道農業にとって、安定した作物の生産は長年の課題でしたが、この課題を克服したのが農作物用ビニールハウスの登場でした。同社は平成元年の創業以来、一貫してビニールハウスやその骨組みであるパイプの製造に努め、近年は需要が出てきた植物工場など多目的なハウスにフィールドを広げています。ビニールハウスは北海道農業をどのように変えたのか。そして北海道農業への思いを同社越浦政俊社長に聞きました。

道内3ヵ所を拠点に事業を展開

―ビニールハウスの製造を始めたきっかけは。

越浦: この仕事を始める前は、鋼材を扱う問屋にいました。そこで鉄を扱っているメーカーから農業用のパイプを扱う仕事を勧められたのがきっかけでした。まったくの素人でしたから、1年ぐらいかけて、数千種類もある資材を勉強して、平成元年11月に越浦パイプを創業しました。
創業時は、米の育苗ハウスやメロンの栽培ハウスの需要が多く、朝から夜中まで仕事に追われ、まともに食事もとれなかった記憶があります。3月中旬から5月連休明けまではそのような毎日が続きましたね。若さと情熱でなんとか乗り切っていたと思います。
最初の事務所は札幌市伏古のたまねぎ倉庫を改良したものでした。しかし、スペースも狭く、屋根も低かったので材料の出し入れもひと仕事でした。
10年ぐらい伏古でがんばり、その後長沼町に移りました。社員は20名ほどになっていましたが、札幌市から長沼町に移り、お客様が来てくれるかどうか心配しましたが、それも杞憂に終わりました。そこで1000坪ほどの工場を借りましたが、その工場も河川敷にかぶるため、平成15年8月から南幌町に今の事務所と工場をかまえました。その後旭川市、七飯町に営業所をつくり、全社員40名で現在に至っています。

 

越浦 政俊 社長

 

―農作物用ビニールハウスでは主にどのような作物を作っているのですか。

越浦: トマトやイチゴ、メロンが主ですね。またサクランボの栽培には霜除け、雨除けにビニールハウスを使っていますし、北海道では作れないといわれていたマンゴーもそうです。きのこのほとんどはビニールハウスで栽培しています。

また、軟白ネギやアスパラもそうです。通常の露地栽培よりも早く、高価に出荷でき、露地とビニールハウスで時間差をつくって出荷することができます。そういう利点がありますね。
夕張市のメロン農家は、メロンを作り終えた後にトマトを栽培し収益を出しています。十勝のような広大なほ場のない山間地の夕張市では、ビニールハウスによる施設園芸に活路を見出しているのです。
北海道農業にとって、ビニールハウスはかけがえのないものであると自負しています。

 

進化する農作物用ビニールハウス

―積極的に新製品を開発していますね。

越浦: 特許をとった製品が2つあります。「トライアングルハウス」と「イーブスパワーハウス」です。
「トライアングルハウス」は、専用金具で肩・母屋・峰を補強するため、近年の異常気象にも安心の耐久性を誇ります。現在建っているハウスの補強も可能です。
「イーブスパワーハウス」は、軒をつけたビニールハウスです。軒をつけることにより、雨天時にも降雨がハウスから離れて落ち、ハウス側面のフィルムが汚れにくいなどの利点があり、札幌商工会議所が認証する「北のブランド2021」の認証を受けました。

また今年から50口(角)の角パイプを使ったビニールハウスを販売しています。納屋にでも、倉庫にでも、何にでも使え、北海道ではどこもやっていません。屋根から壁にかけての湾曲した部分がなくなるので、すごく使い勝手がいいもので、販売も順調です。

 

50口(角)の角パイプを使ったモデルハウス

 

南幌営業所

 

―最後に北海道農業に対する提言を。

越浦: 少子高齢化を考えると北海道農業が厳しくなるのは当たり前なことです。今年はロシアによるウクライナ侵攻の影響も大きく、農業でいえば肥料や飼料は高騰し、我々が扱う資材の価格も上がっています。だからこそ、行政サイドは農業に関する補助金なども方向性を持って持続的に考えてほしい。農業に関わる全ての人が普通に生活できる農政であってほしいし、弊社もそんな農業者から選ばれる企業でありたいと思っています。

―今日はお忙しい中ありがとうございました。

 

●越浦パイプ(株)南幌営業所

空知郡南幌町南16線西22番地

TEL: 011・378・0855

 

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